インタビュー・対談シリーズ『私の哲学』
私の哲学Presents
第81回 朝井 麗華 氏

余命2、3ヶ月と宣告された伴侶の看病、そして死別。その筆舌に尽くし難い経験から極自然に湧き上がった感情をきっかけに、経絡整体師としての道を歩き始めた朝井麗華氏。今や“日本一予約が取れない整体師”として名を馳せつつも、決して変わることのない信念と、確固たる想い、さらにはこれからの自身の使命について語っていただきました。

Profile

81回 朝井 麗華(あさい れいか)

株式会社キレイカンパニー代表
1979年福岡県生まれ。臨床検査業界を経て、アロマセラピーや東洋医学を学ぶ。中国整体推拿(スイナ)療法をベースに、小顔整体や筋膜剥離などを取り込んだオリジナルメソッドを確立。顧客やメディアからゴッドハンド、カリスマと評されるテクニックが瞬く間にタレントの間や美容業界に広まり、肩こりや腰痛などの一般的な症状の改善だけでなく、美容方面でも数々のメディアで紹介される。 施術以外にも、プロ向けの技術指導やワークショップ、サロン監修、グッズ監修、美容研究に関するセミナーや講演会、各メディア出演など、多方面で活躍。8万部のベストセラー『おっぱい番長の乳トレ』(講談社)をはじめ、累計18万部の著書を持つ。

伴侶との死別をきっかけに人生が変わる

生まれは福岡県の北九州市。中学までは普通に明るい真面目な女の子で、毎日すごく楽しんで生活していました。だけど高校では周りが嘘つきばかりに感じてしまい、もう学校が嫌で嫌で。私自身、嘘は絶対につかないことが信条だったから、「こんな取り繕ってばかりの人たちと一緒にいたくない!」と思っていたんです。それからずっと今すぐ退学したいと思い続けていて、多分当時は、ちょっと精神崩壊していたと思います。親には迷惑をかけたくなかったので、何とか高校を卒業して東京の短大へ。卒業後そのまま就職して、22歳で結婚、寿退社しました。それからしばらくして、次はウェブの仕事がしたいと何となく考えていた矢先、主人が末期がんであることが発覚したんです。 医者の話では、余命は2、3ヶ月程度。頭が真っ白になりました。だけど私にできるのは、主人を看病することだけ。だから、とにかく全力でやりました。少しでもリラックスさせてあげたい、なるべく苦痛を取ってあげたい、ほんの僅かでも健康な状態に近づけてあげたい。いくら周りが余命のことを口にしても、私だけは彼が亡くなるなんて考えずに、ただひたむきに看病し続けたんです。最終的に主人は、がん発覚から3年半で亡くなりました。一つの生活が終わり、一人になってこれからどうしようか考えたとき、私の中には一つの想いしかありませんでした。主人のような人を一人でも減らしたい。そのためには、自分が人の体や健康についてもっと知る必要がある。まずは、以前から興味のあったアロマセラピーの勉強を始め、施術をするようになり、徐々にその他のいろいろな知識と技術を身に付けていきました。そして気づいたら、今。もうあれから12年経つんですね。

全力の施術、変わらない信念、これからの使命

そういうきっかけで始めているから、私の施術はいつも全力。だって3年半も明日死ぬかもしれない人の看病をしていたわけですから。全力というか、むしろ命がけの3年半。そこをスタート地点として、主人のような人を減らすために他のお客様にも施術させていただいているんですから、手抜きなんて絶対にできませんよね。そういう私の全力具合に、みなさんとても驚かれます。「こんなに全力投球で施術してくれる整体師、見たことない」って。そういった方々にまた別のお客様をご紹介いただき、また新しいお客様が増え、地道に広がっていき、今の私があるんです。けれど、今でこそメディアに取り上げていただけるようになりましたが、何のためにこの仕事をしているのか、その原点だけはずっと変わりません。だから自分の信念からブレそうな依頼は容赦なく断れるし、もし何かのきっかけでブレそうになったとしても、必ず本質に立ち戻れる。よく自分のセミナーでも言うんです。何のためにやっているのか、立ち返れる原点を常に心の中心に置いておきましょう、って。それがある人は強い。かつ明確であればあるほど頑張れるし、結果、事業としても使命感や志のままに進化することができると思うんです。私の場合で言えば、施術者としての役目は、この12年で一つの形になったと感じています。 だからこれからは、いよいよ伝道師としてのお役目に従事したい。これまで培ってきた自分の技術と確固たる信念を後続に伝え、普及させ、より多くの方の役に立ちたい。もっと大きなレベルで、亡くなった主人のような人を減らしたい。そのためには、例えば、もっと数多くの優秀な技術者を育てる、協会を作る、発信の場を増やすといったより大規模な挑戦が、私のこれからの10年における使命だと思います。 私は常々、やりたいことや叶えたいことは、すぐ口に出して言うようにしています。“叶う”って、口に十って書くじゃないですか。だから叶えたいことは日々口に10回出して言い続ければ、何でも叶うと信じているんです。小さなことでも大きなことでも、やりたいことは全部言う。言って言って、言いまくる(笑)。そうしていると、自然と周りの人がいろいろ助けてくれるんですよ。「だったらこうすれば」とか、「あそこに行けばきっとヒントがあるよ」とか、「こういう人がいるから紹介してあげるよ」とか。そうやってさまざまな方向からアドバイスや助け舟が来て、気づくと本当にその通りに動いているんです。だから、何か一つ実現したとしても、自分が一人で動いて成し遂げた、みたいな感覚は全くないんですよね。そういった考え方もあるから、これからの10年で成し遂げたいことも、とにかく口に出すようにしています。

伝道師として伝えていくこと

私のこれからの役目は、伝道師になることだと考えています。具体的に何を伝道するかというと、単純に“本当の健康とは何か”なんですよね。健康の考え方にもいろいろありますが、私の中での大きな要素の一つとして、人間の3大エネルギー“気血水”があります。これは中医学的な考えなんですが、「気」「血」「水」の3つのエネルギーがすべてスムーズに巡っている状態が、快適で理想的な体の状態だということなんです。 “気”は、元気の気。人間が活動するために必要なエネルギーのこと。心臓をはじめとする臓器を動かすエネルギーも、代謝するエネルギーもそう。あらゆる活動の源となるものです。“血”は読んで字の如く、血液ですね。さまざまな栄養素は、血液によって全身に運ばれます。だから、常に淀みなく隅々まで流れていなければいけません。最後に“水”。これは血液以外の水分のこと。リンパ液や唾液、涙、胃液もなどそうです。そういった体の中の水分や循環が生み出すエネルギー。そして、これらの3つがすべて快適に巡る状態を、あの手この手で提案し、伝えていく。これが“本当の健康を伝道すること”だと考えています。 今の世の中、特にこの日本では、ご自身の健康にしっかりと目を向けている方は、まだまだ少ないと感じています。偏った食事や運動不足、睡眠不足など、現代で深刻な問題となっているこれらの悪習慣は、すべて“気血水”の循環を滞らせてしまう大きな原因になるんです。そういった状態を長く続けていると、もちろん病気になるリスクも高まりますし、モチベーションにも影響してしまう。人間って不思議なもので、体に余裕がないと心にも余裕がなくなってくるんですよ。そうすると自然とネガティブな思考が増えて、精神的にも悪いサイクルに陥ってしまう。けれど、今の日本ではそれに気づいていない方が多過ぎる。私がお客様に接する際は、フィジカルなケアはもちろん、必ず“本当の健康とは何たるものか”という知識まで、しっかりお話ししています。3つのエネルギーを巡らせることがいかに大切で、そのためには日々どうすれば良いのか。それぞれの方に合わせてお話をし、ある種の“気づき”を提示する。 その一人が気づけば、その後ろには10人、100人の方がいると信じて。私はこれまで、そんな施術を10年間続けてきました。そして、これからの10年で私は伝道師として、まず私の技術と信念、目的をも共有できる仲間や後継者の輪を広げる。彼らが新たなハブとなり、より多くの方に気づきを提示し、さらにその後ろにいる方々にもその考え方を伝染させる。また、質の高い技術を広めて日本の施術者レベルの総底上げに貢献する。そして、いつか“本当の健康に向き合うこと”が、世の中のスタンダードになることを願っています。

大輔さんとの出会いは「マルタ共和国」。モンドセレクション授賞式会場で、私から声をかけたのがきっかけ。行動力の塊の彼にその行動力をどうやら認められたようで(笑)、同じ歳ということもあり意気投合! 誰から見ても類まれな行動力と元気印の大輔氏。人の予測を遥かに超えるスピード感とマメさ、相手に対する研究熱心さで、根こそぎ人の心を掴む振る舞いにはいつも勉強させてもらってます。相手の本質を即座に見抜き、本気で付き合う大輔氏。私の志や人生観も即捉え、対談では私の未来目標が大輔氏の世界観と呼応し、さらに大きくさせてもらったように感じます。 私たちのモットーは、「元気な行動者」であること。「できない」という言葉は無い。ひたすら前向きな哲学でした!

株式会社キレイカンパニー代表、経絡整体師 朝井 麗華


マルタ共和国での出会いがこのように形になって嬉しいです。飛び抜けて明るい朝井麗華さんですが、若いときに亡くした夫への介護があって今の自分がいるというストーリーに大変共感しました。出会った当時、「おっぱい番長」としてメディアで取り上げられていたので、おっぱいにちなんで『私の哲学』081号への出演を依頼し、この度完成しました。 インタビュー後、ゴットハンドの施術を体感。凝っている箇所はあったものの、日頃から食べ物・睡眠・運動に気を遣っているので、体の状態は「◎」でした(笑)。「叶うは口に十と書き、10回声に出すと叶う」というのは、まさにその通りだと思います。前向きに未来を見据えて、今日よりも明日の自分をパワーアップし続けることが大切です。10年後、お互いどのようにパワーアップしているか、今からとても楽しみです。

『私の哲学』編集長 杉山大輔

2018年4月 気・REIKAにて ライター:山本サトシ 撮影:小長井ゆう子